鼻
鼻がつまる
鼻水が原因の場合と鼻水以外が原因となっている場合があります。粘っこい鼻水は奥に向かって流れていくため、うまく鼻がかめないお子さんの場合は奥にたまった鼻水がつまりの原因になります。前から出る鼻水は透明でさらっとしていても奥には粘っこい鼻水がたまっていることもあります。自分で鼻をかめない場合は鼻水を吸ってあげることも大切です。哺乳や睡眠などに影響があるようなら飲み薬も使う方が効果的です。
鼻をかんでも鼻づまりが良くならない場合は鼻の中が腫れて狭くなっています。もともと鼻の中は入口に比べて狭くなっていますが炎症で更に狭くなっています。この場合は鼻水があっても鼻をかむことだけではよくなりません。鼻をかんでもあまり鼻水が出ずに鼻づまりが残る場合は、強く鼻をかみすぎて耳が痛くなることがありますので気をつけてください。このような場合は飲み薬だけでなく点鼻薬も使う方が効果的です。
鼻が狭くなる原因は炎症による腫れだけでなくポリープ(鼻茸)や腫瘍、左右の鼻の穴の間にある壁のゆがみ、お子さんなら異物のこともあります。鼻ではなく鼻の奥にある上咽頭(のどの上の部分)が腫れていて鼻がつまる場合は鼻から入れるカメラによる確認が必要になります。
鼻水が出る
鼻水が出る病気によって鼻水の出ている期間や鼻水の状態が違います。
アレルギー性鼻炎では何日も続けてさらさらとした透明の鼻水が出ます。風邪の初めの1~2日にもさらさらとした透明の鼻水が出ますが、そのうち粘っこい鼻水に変わり、色も濁ってきて場合によって濃い黄~緑色になることもあります。鼻水が粘っこくなってくると鼻から出てくるより鼻の奥にたまったり鼻の奥からのどに流れて痰になったりします。このような状態の鼻水の場合には副鼻腔炎も起こしています。副鼻腔炎は風邪のときになる場合もありますが、風邪には関係なく数か月以上続く場合もあります。
その他、自律神経が関わる鼻炎、食事に伴う鼻炎や加齢に伴う鼻炎などがあります。お子さんで片方だけの鼻水が多い場合には鼻の中に異物を入れていることもあります。
くしゃみが出る
鼻が刺激されるとくしゃみが出ます。埃や花粉などが鼻の中に入って刺激する場合もあれば、温度差が刺激になることもあります。
くしゃみが出ることが多いのはアレルギー性鼻炎と風邪です。アレルギー性鼻炎ではくしゃみが発作的に続けて何回も出ることが多く何日も続きますが、風邪の場合には風邪の初期に1~2日ほど出て終わることがほとんどです。
くしゃみが出るときに瞬間的に目を閉じることが多いため車の運転などに影響が出ることがあります。アレルギー性鼻炎でくしゃみが続いてお困りの場合には飲み薬や点鼻薬で治療します。もちろん、刺激を受けないようにマスクで予防されることも重要です。
においがしない
においがしない場合には鼻に問題があることがほとんどです。やはり、アレルギー性鼻炎や風邪による鼻炎のことが多く、ほとんどの場合にはアレルギー性鼻炎や風邪の治療で良くなります。ただし、風邪の原因になるウイルスによってにおいを感じる部分がダメージを受けてしまった場合には良くなるのに数か月かかることがあります。さらに重症例では何年も良くならないこともあります。その他にも、副鼻腔炎に伴うポリープ(鼻茸)や腫瘍などが原因になることがあります。
鼻には問題が無くても亜鉛不足や頭部外傷、アルツハイマー病やパーキンソン病の初期症状によってにおいが分からなくなることがあります。
鼻がくさい
鼻がくさいと感じる場合には鼻の奥か鼻の入り口に問題があることが多く、鼻の奥に原因がある場合は副鼻腔炎で鼻の入り口に原因がある場合は鼻前庭炎です。
副鼻腔炎の場合には濃い色の鼻水が出てきたり鼻の奥からのどに流れて痰になったりします。ただし、副鼻腔炎だからといって必ずしも鼻がくさいと感じるわけではありません。
もうひとつの鼻前庭炎とは鼻の入り口で鼻毛が生えているあたりの鼻前庭という場所を触りすぎて炎症を起こしている状態です。化膿して膿が出て固まってはなくそのようになることがあり、お子さんではさらに触りすぎてとびひになることもあります。鼻前庭には皮脂腺もあり分泌物が臭うこともあります。
その他、腫瘍や子供では鼻の中に入れた異物による鼻炎が原因になることもあります。
鼻血が出る
ほとんどの鼻血は左右の鼻の真ん中にある鼻中隔という壁から出ています。鼻中隔の鼻の入り口に近いところにキーゼルバッハ部位という鼻血の出やすい場所があります。鼻の入り口に近いところなので鼻をほじったり鼻をかんだりすることで傷がついて出血することが多いのですが、特に鼻に炎症を起こしているとキーゼルバッハ部位もあれていたり血管がふくれた状態になっていて出血しやすくなります。血管がふくれた状態になっていると鼻を触ったりしなくても頭の位置を低くしたりお風呂にゆっくり入ったりすると鼻に血液がたくさん流れてくることで出血します。また、一度出血するとかさぶたができて出血は止まりますが傷は不安定で出血しやすい状態が続きます。一週間以上出血が無ければ傷もしっかり治って落ち着くことがほとんどです。
よく鼻血を出すお子さんのほとんどが鼻炎に伴うものです。鼻炎の程度はさまざまで鼻炎があると気づかれていないこともあります。基本的には触らないようにして鼻炎の治療をすることで出血は落ち着くことがほとんどです。出血した場合には横にならず座った姿勢で下を向いてのどに血が流れないようにして小鼻の部分を押さえて鼻中隔を圧迫するようにしてください。
鼻血の量が多くて特にのどの方にたくさん流れてくる場合には鼻の奥の方から出血していることがあり、その場合には一時的に止まっても出血も多量になることがあるため病院での治療が必要になります。
まれに腫瘍や血液・血管の病気などが出血の原因になることもあります。