喉(のど)
のどが痛い
風邪の初期などのどに炎症を起こしてのどが痛くなることが多いのですが、この場合には痛みはあっても食事は普通にできることがほとんどです。ところが、口を開けたときに奥の方に左右に見える扁桃腺に炎症がある場合には強い痛みがあり飲みこむときにも痛みが強くなります。小さなお子さんの場合には痛みを訴えずに食事をとろうとしないことでわかる場合もあります。高熱が出る場合もあれば、あまり熱の出ない場合もあります。痛みが強い場合には痛み止めなど飲み薬を使うことになります。原因が細菌の場合には抗生剤の効果が出やすいですが、ウイルスの場合には抗生剤の効果は無いことが多く4~5日は強い症状が続きます。左右のどちらかだけが強く痛む場合には扁桃腺の奥に膿がたまっていることがあり切開して膿を出すことがあります。
また、あまり多いわけではないのですが口を開けただけでは見えない奥にある喉頭という部分が腫れて声がこもった感じになると窒息することもあるため大きな病院の耳鼻科での診察をお勧めします。他には花粉症などのアレルギーや腫瘍が原因になることもあります。
のどに違和感がある
のどの違和感があっても、のど以外に原因があることもあり診断が難しいこともあります。のどの違和感の原因は以下のようなものが代表的です。
- のどの炎症
- 鼻や副鼻腔あるいは鼻の奥の上咽頭から鼻水や粘液がのどに流れてくること
- 年齢や薬、ストレスなどで唾液が減ることや口呼吸によってのどの潤いが減ること
- のど(咽頭や喉頭)の腫瘍
- のどのアレルギー
- 逆流性食道炎(げっぷや胸やけの症状もあることが多い)
- 甲状腺の病気
その他、ストレスなど精神的な問題が関係していることもあります。
息がしづらい
いつも鼻で呼吸している人の場合、鼻がつまって鼻で呼吸できなくなると口で呼吸はできますが息がしづらい感じになります。鼻がつまる原因は花粉症などのアレルギー性鼻炎や風邪による鼻炎などさまざまです。ただし、鼻が原因の場合にはとりあえず口で呼吸をすることはできますので緊急性は低いことがほとんどです。
のどに問題がある場合には緊急性が高いことが多いため、経過をみるよりはできるだけ早めに診察を受けなければなりません。炎症による腫れや腫瘍によってのどが狭くなるため鼻や口から吸った空気の通り道が無くなっていくからです。炎症の場合には急激に進行して生命にかかわることがあり大きな病院の耳鼻咽喉科で診察を受けられることを勧めます。
その他、喘息や肺炎などの気管支や肺の病気や心臓の病気が原因のこともあります。
声がかれる
のど(喉頭)にある声帯という部分が振動して声を出します。声がかれる場合には声帯の状態が悪くなっていることがほとんどです。
風邪のときは炎症や咳によって声帯が赤く腫れて声がかすれますが、腫れ方によっては一時的ですが声がほとんど出なくなることもあります。
声帯結節や声帯ポリープは仕事や趣味など声をよく使う人や喫煙者にみられます。
喫煙者の場合、喉頭がんの可能性もあり声のかすれが続く場合には早めに診察を受けてください。声帯全体がポリープの様に水膨れしたようになるポリープ様声帯も喫煙者にみられます。
加齢に伴って声がかれることもあります。女性では声帯がむくんだ状態になって低いかれた声になることがあります。逆に男性では声帯がやせた状態になる声帯溝症(声帯萎縮)になると息もれしたような弱々しいかすれ声になり声を続けて出すことがしんどくなります。
小学生頃までのお子さんでは学童嗄声といって声帯に結節(小さな突起)ができて声のかすれが続くことがあります。自然に治ってくることもあり生活や学校生活に問題が無ければ特別な治療はしないことがほとんどです。
声帯の動きが悪くなる声帯麻痺も声がかれる原因になります。声帯麻痺は原因がよくわからないこともありますが、がんや脳の病気など原因になる病気もさまざまです。まず、原因となる病気が無いか検査する必要があります。
せき・痰が出る
せき・痰は風邪のときによくみられる症状です。風邪のときには鼻炎や副鼻腔炎のために鼻や副鼻腔から出た粘っこい鼻水が鼻の奥からのどに流れていくことで痰になります。特に朝に起きる頃や夜に寝始める頃に多く流れることで痰の絡んだせきが出やすくなります。粘っこい鼻水が多ければ昼間でも夜寝ている間でも痰が絡んだせきが続きます。さらに、気管支に炎症があると乾いたせきもあわせてせきのでる時間が長くなり、特に夜中のせきがひどくなります。高熱がある場合は肺炎をおこしていることもあります。1週間ぐらいで風邪は治っていきますが、その後もせきが続くことがあります。痰が絡むような場合は風邪による副鼻腔炎が治りきっていないことが多く、夜中の乾いたせきの場合には咳喘息のことがあります。
風邪以外にもせきや痰がでる原因はアレルギーや慢性的な副鼻腔炎、胃液の逆流(逆流性食道炎)、気管支喘息のほか、特に成人では結核や腫瘍といった肺の病気のこともあるためせきが長引く場合には内科での診察も必要です。
飲み込みにくい
風邪などでのどに炎症をおこすと飲み込むときに痛みが強くなり飲み込みにくくなります。特に扁桃腺が腫れている場合には強い痛みがあります。左右のどちらかの扁桃腺だけが腫れている場合には扁桃腺の奥に膿がたまって口も開かないぐらい重症化することがあります。
風邪でもないのに飲み込みにくい場合にはがんなどの腫瘍の可能性があります。特に喫煙や飲酒の習慣がある人は要注意です。
年齢・薬の副作用・ストレス・シェーグレン症候群などで唾液の量が減ってくると食べ物がスムーズにのどを通りにくくなるため飲み込みにくくなり、特に薬などはのどに残った感じがすることもあります。
脳の病気ではのどの動きが悪くなって飲み込む力が弱くなることもあり、のどの感覚が弱くなるとむせやすくなります。